2017年9月17日日曜日

9/16 明治安田生命J1リーグ第26節 VS サンフレッチェ広島 @ エディオンスタジアム広島

第26節
2017年9月16日(土)18:33KO Eスタ

スタジアムエディオンスタジアム広島主審佐藤 隆治
入場者数11,726人副審中井 恒、金井 清一
天候 / 気温 / 湿度曇時々雨 / 25.1℃ / 82%第4の審判員吉田 哲朗
スターティングメンバー
サンフレッチェ広島広島
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • ヤン ヨンソン
 
  • 監督
  • 尹 晶煥
サンフレッチェ広島広島
C大阪セレッソ大阪
今回対戦今季平均
データ項目サンフレッチェ広島セレッソ大阪サンフレッチェ広島セレッソ大阪
FK10101412
CK41155
PK0000
シュート5131212
警告/退場0/01/01/01/0

<監督・選手コメント>

サンフレッチェ広島 ヤン・ヨンソン監督
セレッソ大阪 尹晶煥監督

サンフレッチェ広島 フェリペ・シウバ選手、高橋選手、パトリック選手
セレッソ大阪 杉本選手、山村選手、山下選手

明治安田生命J1リーグ第26節、セレッソ大阪が敵地エディオンスタジアム広島に訪れてのサンフレッチェ広島戦は、ワンチャンスをものにしたサンフレッチェ広島が1-0で勝利。
セレッソ大阪の順位は4位と変わらないものの首位鹿島との勝ち点差が10と大きく開き、サンフレッチェ広島は15位に順位を上げ今シーズン第3節以来となる降格圏を脱出した。

■メンバー

サンフレッチェ広島のメンバーは4試合連続同じメンバー。GKには中林、最終ラインは右から丹羽、千葉、水本、高橋と並び、ボランチは青山と野上。2列目の3シャドゥにはアンデルソン・ロペス、柴崎、柏でワントップにはパトリックが入っている。

一方のセレッソの先発メンバーは、前節から1人変更。木本が入っていたCBに山下が復帰、これは対パトリックという部分もあったのだろう。その他はいつものメンバーが並んでいる。
また長期離脱から練習に復帰している清武はベンチ外。復帰は来週の天皇杯以降に持ち越されることとなった。

■コンパクトな守備ブロックを敷く広島

試合の立ち上がりは、3分に杉本、5分に山村と立て続けにシュートを放ったセレッソ。セレッソが広島陣内にボールを運ぶ事が多かった。
広島の守備
そうなったのは広島の守備ブロックが、新潟戦や大宮戦に比べると少し深かったから。
広島は4-4-2で守備を初めて4-4-1-1の様な形になりトップ下の選手が中盤のサポートに入る事が多いのだが、新潟戦や大宮戦に比べるとそのブロックが少し深いので、後ろの選手は比較的余裕を持ってボールを持つことができる。
そしてそこから広島の守備ブロックの両サイドにあるスペースにSBを出し、敵陣にボールを運ぶ形になっていた。
ただ、3分、5分にあったチャンス以降は敵陣にはボールを運べるものの、チャンスらしい形は作れていなかった。
それは広島の守備ブロックが縦横にコンパクトな陣形を維持出来ており、かなり中を絞った形なのでブロックの中にボールを入れる事が出来ていなかったからだった。
広島守備のサイドの対応
広島の守備ブロックはかなり横にもコンパクトで中央を締める形になっていた。
なので今シーズンのセレッソの守備ブロック同様まずは守るのは中央。サイドはボールが出てから全体でスライドという形になっている。
サイドの守り方としては、脇のスペースを使われた時に出ていくのは基本的にSB。SHが戻って6バックの様な形になることはあまりない。
となるとSBとCBの間が広がる事になるが、ここを埋めるのがボランチ。そして中盤にはトップ下の柴崎が戻ってくる。
広島のこの守備に対して、守備ブロックが低かったのでセレッソはサイドからボールを運ぶ事ができていたのだが、運んだ先でチャンスを作りきれない時間が続いたのは、ここから広島の守備を広げる事ができなかったから。序盤からソウザのパスが何度も相手に引っかかっていたのは、「ソウザの調子が悪い」のではなく広島の守備陣形に引っかかっていた、そしてそれを広げる事ができなかったからからだった。

■カウンターを出せなかったセレッソ

セレッソの最初のチャンス、3分の杉本のシュートはセレッソが奪ったボールをカウンター気味に一気に縦に運んだ形だったが、その後はほとんどカウンター気味の攻撃は出せなくなった。
セレッソの最大の特徴であるこの攻撃の形を作りきれなかった事もチャンスを作りきれなかった要因だろう。
広島がセレッソのカウンターを防ぐ為にしてきた準備をいくつか見る事ができた。
広島のポゼッション
前半の15分頃まではセレッソがボールを保持し、また奪われても素早い守備への切り替えと、広島では柴崎も守備に入るとパトリックが前線で孤立してしまう事から、セレッソがすぐにボールを奪い返す場面が多かった。
しかし15分すぎ頃からは広島もボールを持つ時間が増えていった。
この広島のボール保持で印象的だったのは全く攻め急がない事だった。
広島は2CBと2ボランチでビルドアップを始める。そして流動的に動く3シャドウと横幅隊となったオーバーラップしたSBで相手のブロックを崩しにかかるのだが、3シャドウが流動的な分度してもボールロストが多くその度にSBの裏を狙われる事が多かった。
がしかしこの日は最終ラインとボランチのところでゆっくりとボールを持つ時間長く、縦パスの本数はかなり少なかった。
それを表しているのが前半のポゼッション率が45%にもかかわらずパス成功率が83%もあった事。つまり失うリスクのあるパスが少なかったという事だ。ちなみに広島の前節新潟戦では75.1%。その前の大宮戦では81.9%。なのでこの試合で広島がボールを失うリスクのあるパスを特に減らしていた事がわかる。
セレッソの守備はミドルゾーンでブロックを作って守るため、攻守の切り替え以外の場面ではCBにまでアプローチをかけに行く事が少ない。おそらくそれを見越しての対策で、被カウンターのリスクを減らす事を徹底してきたのだろう。
その結果前半の広島はシュートが1本しかなく、また1トップのパトリックにボールが入る事もほとんど無かったが、それでもOKという判断だったのだと思われる。
カウンター対策
それでもボールを奪われた時の杉本と山村に対する対応も整理されていた。
セレッソの攻撃は前線の2枚に縦パスを当ててSHがスプリントするという形が基本で、ここでボールが収まるから縦に速い攻撃が可能になっている。
この2枚に対して広島はCBとボランチでしっかりと1人がアプローチをかけて1人がカバーする形を作れており、その間にSBが戻ってくる。このアプローチに対しても攻撃をスローダウンさせるという役割が明確で、またSBの戻る場所も戻るタイミングも明確に整理されているので切り替えも速く、狙い通りにセレッソの攻撃をスローダウンする事ができていた。

またセレッソのロングボールに対しての準備もしっかりできていた。
広島の守備は基本的にブロックを下げて守っているのだが、例えばボランチからCBにバックパスをした場合や、DFからキム・ジンヒョンにバックパスをした場合には必ずラインを上げキッカーにアプローチをかける。
この動きはかなり徹底されておりキム・ジンヒョンやCBからロングボールを蹴った時にはキッカーに時間を与えず、またほとんど競らせなかった。

39分に杉本が迎えたビッグチャンスはインターセプトからワンタッチのクサビが杉本に入ったところから攻撃が始まっていたように、実際のところボールを持っての攻撃の精度を考えると、セレッソとしては杉本と山村へのクサビというのが最大のポイントで、この形にもっとこだわっても良いようにも思うが、ボールを持ってボールは運べていたのでダメならまずはボールを持ってという形でセレッソが攻撃していたので、結局攻めきれないという展開が続く前半となった。

■広島の狙い

後半の立ち上がりは、両チームのゴール前をボールが行き来するような展開で始まるが、セレッソは前半よりも少し前掛かりになる姿勢が見られた。
そこで見られたのが2トップをサイドのスペースに走らせる形。中々2トップの足下にボールをつけられない時間が続いていたので、前半は山村が数回見せる程度だったトップの選手がスペースに流れてそこにボールを出すという形が見られるようになる。
そして、49分にはカウンターからサイドに流れた杉本が起点になって、松田がインナーラップで中に入っていきシュートというビッグチャンスをつくるが、シュートは枠外。長い距離を走ってきた後のシュートでキツい状況だったが、可能性を感じさせるひらめきだったのでなんとか枠に飛ばしてほしかった。
2トップがサイドに流れる
ただ、一方でトップが先に前に出てしまうため、2列目と前線の間が広がる事に。そんな中杉本がクサビの落としをミスしたところから59分にアンデルソン・ロペスの折り返しにペトリックが飛び込むという決定機を作られるという場面もあった。
ただ、広島の本命はこの形ではなく、56分、57分の形だっただろう。
カウンターを狙う両サイド
広島の守備の形は先に書いた通りで4-4-1-1の様な形になっており、この時SHがSBの脇のスペースに下る事はあまりなく、4-4の形通りにSBの前にきちんとSHがいる。これはSBが引っ張り出されてボランチがCBの間を埋める形になっても、トップ下の柴崎が中盤にはいってSBの前にはSHがいる。
そして時々あるSHがSBの位置まで下がった時は、ボールサイドのボランチが下がらなくても良くなった分、トップ下の柴崎がこのSHの位置にいる事がおおく中盤の4はほとんどの場合確保できていた。
そしてこのSHのポジションはカウンターの起点としての役割もになっていた。前半にあったアンデルソン・ロペスがボランチの裏に走った場面。ここではソウザが素晴らしい対応でボールを奪い返す事に成功したが、おそらく広島の狙いはこれ。両サイドの柏とアンデルソン・ロペスがボランチの裏に斜めに入っていき、その前をパトリックが走る形。これこそがおそらく広島がこの試合で準備をしてきたカウンターで一点を奪う形だったのだろう。
56分の場面は、ボールを失った後にアンデルソン・ロペスからパトリックにスルーパスを出した形。ここは山下がきっちり対応しボールを奪い返したが、広島がボールを奪った後、4-4のSHにいるアンデルソン・ロペスが起点になり、そして逆サイドから柏も斜めにスプリントしている。
そして直後の57分の場面も同じ位置からアンデルソン・ロペスからパトリックへスルーパスを出されている。
68分〜
広島が68分に柴崎からフェリペ・シウバへの交代があった後この形が実を結んだ。
カウンターの起点
松田が中に切り込んでソウザに出した横パスをソウザがコントロールしきれず青山がカット。このボールをフェリペシウバに出すとここを起点にパトリックを走らせて一気にカウンター。パトリックが運んだボールの折り返しをフェリペ・シウバが流し込んでゴール。70分に広島が先制した。この場面ではフェリペ・シウバのシュートがタイミング・コース共に抜群で技術の高さを感じさせるものだったが、完全にセレッソのボランチの裏をとって、そこからパトリックを走らせる事でカウンターを成立させており、ここまで3度は実らなかったが4度目にしてついにものにした。
セレッソにとっては攻めあぐねて攻めあぐねた結果ボランチの裏を取られるという形。
ここまで3度は危ない場面を作りかけられながらも防いでいたが、それはいずれも個の力でなんとかして凌いでいたに過ぎず、組織として対応できていた訳でもなかったのでいつか決壊してしまう可能性は十分にあった。

■バリエーションの少ないセレッソ

80分〜
80分、セレッソはソウザと山村に代えて木本と澤上を投入する。
しかしボールを持って攻めても広島の守備ブロックの前に攻めきれない。
前半から続く、速い攻撃が出来ずボールを持つ。そして広島は中を固めているのでサイドを使う為にSHが中に入ってSBを上げるという形は中央を締める広島のブロックは全く動かせず、そして中ではボールが引っかかってしまうというパターンにはまっていた。
これまでの試合でも何度もあったが、セレッソはボールを持った時の攻撃が整備されておらず、個々のアイデアに頼る部分が多い。そんな中で、この試合の広島の守備ブロックは低かった事もあって、そこまでは何度も持っていけた事が同じプレーを延々と続けてしまうことにも繋がったのだろう。
84分にようやく松田がサイドを崩すような動きからクロスを入れるが中林がセーブ。しかしこの形もアイデア任せなので単発でしかなかった。
90+5分
89分に広島は足をつらせた青山に代えて稲垣を投入。
セレッソも柿谷に代えて福満を投入するも、杉本の個人技頼みという形は変わらず。杉本のシュートがポストを叩くと、ラストプレーで広島は柏に代え高さ対策として皆川を投入。最後はセレッソのセットプレーをしのぎきり1-0で試合終了。広島の勝利に終わった。

■その他

セレッソにとって悔しい結果に終わることとなったが、内容的には広島がきっちりセレッソ対策を練って実行してきたという試合だったと思う。
これまでも何度か問題になっていたが、セレッソの戦い方のバリエーションの少なさが目立つ事となった。
こういう試合が少し増えてきた事で、最近はセレッソは選手層が薄いという言い方をされる事もあるが、選手層が薄いというよりも戦い方のバリエーションの問題だろう。
交代策は選手の入れ替えにしかなっていない。

広島がブロックを下げた事で、セレッソは攻めあぐねたがCKを11も獲得することができた。
なのでこのCKで得点を挙げる事ができていたらこの試合も勝てたかもしれない。
がしかし、当然決められない事もあるわけで、安定して勝利を重ねるには戦い方のバリエーションを増やし、相手を見てサッカーをする事が必要だと思うのだが。



1 件のコメント :

  1. 今年は守備のベースを作ることで精一杯のようですね。
    来年はどうやってゴールするのか、ゴールから逆算した連携で上積みを図って欲しいです。

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