2016年11月21日月曜日

11/20 明治安田生命J2リーグ第42節 VS ロアッソ熊本 @ キンチョウスタジアム

第42節
2016年11月20日(日)14:00KO 金鳥スタ

  • NHK大阪(近畿ブロック)NHK熊本スカパー 
スタジアムキンチョウスタジアム主審塚田 健太
入場者数11,452人副審松井 健太郎、高寺 恒如
天候 / 気温 / 湿度曇一時雨 / 20.7℃ / 75%第4の審判員野田 祐樹
スターティングメンバー
セレッソ大阪C大阪
 
ロアッソ熊本熊本
 
  • 監督
  • 大熊 清
 
  • 監督
  • 清川 浩行
セレッソ大阪C大阪
熊本ロアッソ熊本
今回対戦今季平均
データ項目セレッソ大阪ロアッソ熊本セレッソ大阪ロアッソ熊本
FK13131414
CK8264
PK0000
シュート175138
警告/退場3/01/01/01/0

<監督・選手コメント>

セレッソ大阪 大熊清監督
ロアッソ熊本 清川浩行監督

セレッソ大阪 杉本選手、柿谷選手、山口選手、松田選手、田代選手、清原選手、秋山選手
ロアッソ熊本 小谷選手
ロアッソ熊本 清武選手、巻選手、上村選手

2016年明治安田生命J2リーグ最終節、セレッソ大阪は本拠地キンチョウスタジアムでロアッソ熊本と対戦し1-0で勝利。前節の試合中に既に最終順位は決定していましたが今節の勝利で3連勝でプレーオフ進出となりました。

■メンバー

セレッソ大阪は、田中裕介の負傷もあって以前からプレーオフにかけてやる可能性があると話していた4バックを最終節にして採用。さらに前線は1トップ+トップ下というよりも今季初となる2トップに近い陣形で柿谷と澤上が並ぶ4-4-2となりました。

一方の熊本は、セレッソから期限付き移籍中の小谷が契約上の問題で出場できないということで、CBには前回対戦時にプロ入り初ゴールと退場という天国と地獄を一気に味わってしまった薗田を起用。さらに中盤にはキム・テヨンと村上に加え上村を起用し、齋藤と清武功暉が両サイドに入る4-4-2ではなく4-3-3気味の布陣となっていました。

■熊本の狙いとセレッソのぎこちなさ

熊本の守備
熊本の守備は平繁がCBの前に立ち齋藤と清武功暉が両サイドに入る4-1-4-1のブロックを自陣で作る形。
平繁はCBを追いかける事はしないけど、前には立つ。なのでセレッソはCBでボールは持てる。
しかしそこからSBやボランチにボールが出ると、2列目の4人が一気に前にでてプレッシャーをかけに行く。ボランチが平繁を超えて下がると熊本のボランチ2人は追いかけないけど、平繁よりも前に来るとそこには喰いつき、平繁がプレスバックする。そしてボランチが喰い付いてできたスペースはキム・テヨンが埋めるという形になっていました。
熊本が清武と平繁が前線で2人になる4-4-2ではなくキム・テヨンをアンカー気味に置いた4-1-4-1で守っていたのは、この喰いつく守備とそれによって芋づる式にできるスペースをキム・テヨンに埋めさせたかったからだと思われます。
なので開始3分の時点で前線が深追いしすぎて蹴られたキム・ジンヒョンからのロングボールを奪いきれず杉本中央に向かって斜めにドリブルを仕掛けたところで慌てて戻って後ろから引っ張ってイエローカードを受けています。
狙いとしてはこの2列目で前向きにボールを奪いたいのが一番。それができないと4-1-4-1のままブロックを下げてゴール前のスペースを消す。この時はキム・テヨンはとにかくCBの前でバイタルエリアにスペースを空けない様に意識しているようでした。なのでサイドに深く入られSBを外に出された時の守備陣形が少し危うい感じもありましたが、前半はセレッソがそういう形をほとんど作ることができなかったのであまり問題にはなりませんでした。

セレッソが熊本の危うさを表面化することができなかったのは、この熊本の迎撃プレスをかわすことが出来なかったのと熊本のボールを奪ってからの攻撃が機能していたから。
セレッソの攻撃にはどうやってボールを運ぶのかというチームとしての形はありません。なのでこの試合でもソウザや杉本が個人で剥がすか、柿谷が個人の判断で降りてきてボールを運ぶか。個人で剥がすのはちゃんと想定してあってそのためのアンカーにキム・テヨンを置いている。(前半3分イエローカードの場面はそれが上手く行かない形になってしまったので慌ててファールをして止めた)また柿谷が降りる場面も最悪ブロックを落としてスペースを消すことで対応できるという計算だったのでしょう。
熊本の攻撃の狙い
そしてもう1つの攻撃が機能していたからという部分。
熊本の攻撃は突破力のある清武功暉とスピードのある齋藤という両サイドを上手く活用したものでした。
熊本の両サイドが狙ったのはSBとCBの間。CBの2枚は1トップの平繁に対して距離を寄せるのでSBが上がるとCBとSBの間に大きなスペースができる。ここを清武功暉と齋藤の両サイドが外から中に斜めに向かって走る。この動きが効果的だったのはよりCBとSBのスペースが空きやすいカウンター。しかしそれだけでなく全体的に見れば決して上手く行っていたわけでもない遅攻でもここを使われる場面が何度か見られました。
セレッソの守備
この日のセレッソは4-4-2。5-4-1と異なり1列目の守備は2枚です。また4-2-3-1でやってた時も基本は4-4-2でセットすることが多いのですが、その時も4-4-1-1だったりなる事も多かった今シーズン。しかしこの試合ではおそらく柿谷と澤上を2トップでという事なので4-2-3-1だった時以上に4-4-2の形で守備をしようという意識が見られました。
そしてまた選手たちも高い位置からの守備に問題を抱えている自覚があるんだと思います。なのでより2枚でという事になっていたのでしょう。
その結果柿谷と澤上の2人が頑張っていて、元々あまりボールをもってビルドアップを行う事が得意ではない熊本は縦パスを入れられない場面も多くありました。
しかし頑張るだけで問題を解決できるなら監督は必要ありません。1列目の守備が何をどこまで行うのか、それを2列目がどうするのか、そして3列目は?というのが守備の設計で、残念ながらそこが曖昧なのが今シーズンのセレッソ。
なので例えば1列目の守備ではアンカーのキム・テヨンをどうするのか、そして2トップ脇のスペースに対する守備が定まっておらずまちまち。なので2列目以降の守備もその時々で各自で判断する。
その結果2トップ脇のスペースを簡単に使われ、そこにSHが釣り出される。するとSBがフリー。ここからSBの裏やSBとCBの間を狙う清武功暉や齋藤を走らせる形や、ボランチがサイドに出てくると元々ボランチがマッチアップしていたインサイドハーフが空くのでそこを使って逆サイドに迄運ばれたり、中央の3対2を使って再びSBの裏やSBとCBの間を狙う清武功暉や齋藤、または1トップの平繁がサイドに流れる形でゴールに迫られる場面を作られます。
この動きもあってセレッソはSBも上がりにくくなり、セットプレーから幾つかシュートを放つ場面はつくっていたものの前半は熊本の方が狙った形を作ることが出来ており、可能性がある攻撃を見せていました。

■熊本のサイドの守備の危うさ

スカパー、マッチデーハイライトのインタビューでハーフタイムに柿谷が松田と丸橋の両SBに高い位置まで出てきて欲しいと話していた様に、セレッソは後半キックオフからの攻撃で、セカンドボールを拾うと松田がオーバーラップして上げたクロスに杉本がボレーで合わせる形を開始18秒で作ります。
ここからあきらかになっていくのが前半から危うさを漂わせていた熊本のサイドの守備。
熊本のリトリート時の守備
熊本はブロックを下げてリトリートした時の守備は、ゴール前のスペースとバイタルエリアをとにかく消したいという事で4バックがいわゆるできるだけペナ幅に絞ってポジションをとり、アンカーのキム・テヨンはできるだけCBの前にとどまる、そして2列目の4人もしっかり下がって守備をします。
しかし清武功暉と齋藤の両サイドはカウンターの基点にしたいのでできるだけ下げたくない。
ここが下がってしまうと1トップの平繁が完全に孤立してしまいカウンターができなくなり完全に押し込まれてしまうからです。
先程の松田のクロスはこの外側のスペースにあがってきた松田にあげられたもの、そして続く48分には丸橋にここに出てこられてクロスを入れられています。
サイドの守備
ではこのサイドを熊本がどうやって守ろうとしていたかというと、SBの外側を使われた時はSBが外にでて対応する。しかしそうなるとSBとCBの間にスペースができることになるのですが、ここはCBがスライドするのではなく、またアンカーが入るのではなく、インサイドハーフが下がって埋める形になっていました。中央のCBとアンカーの3人の関係をできるだけ崩したくなかったんだと思います。
この形は4-4-2でもボランチが下がって埋める形になっているのでおそらくその延長線上だと思いますが、2列目は前への守備を意識しているのでこれがなかなか難しく、丸橋のクロスを何とか跳ね返したすぐ後の攻撃では今度はソウザにインサイドハーフが埋めるよりも先にこのSBとSBの間に入られ、折り返しを杉本がシュートという、セレッソが開始からわずか3分間で3つのチャンスを作り、さらに54分にはSBとCBの間で杉本が村上とマッチアップした状態でもその裏に流れた澤上にパスを通し、折り返しを柿谷が左足で合わせるという決まってもおかしくない決定機を作る事に成功します。

後半に入ってセレッソの守備が改善されたわけではありませんでしたが、押し込む回数が増えた事でそもそもの攻撃の回数が減った事、そして熊本の攻撃のスタート地点が低くなり効果的な攻撃ができる確率も下がった事でセレッソにとって状況は改善されていきました。
ただ、ひつこいようですが別に守備は改善されていないので時々清武功暉や齋藤には走られていましたが。

この後、柿谷の何をどうすればそうなるのかが全く理解できないトラップもありながらも

0-0のまま推移していく展開。
61分〜
すると61分に熊本は平繁に代えて嶋田を投入。嶋田は普段からプレーしている左SHに入り清武功暉が前線に移動します。嶋田は本職だけあって清武功暉よりもスペースをカバーする意識が強くSHっぽいポジショニングを取りますが、62分の丸橋のアーリークロスにSBの外側から飛び込む清原や、64分の杉本の外側を丸橋が走って折り返す形など、熊本のボックス内に入るプレーが続きます。
65分〜
セレッソは65分に澤上に代えて酒本を投入。杉本が前線に入り清原が左SH、酒本が右SHに入ります。
この布陣はフリーダムなソウザと、CBとぶつかり合わない下がったところでボールを受けたい杉本、SHとして役割が定まっていない酒本とポジションのバランスがよかった訳ではありませんが、クルピ時代にあったシンプルな攻撃の約束事「アーリークロスはニアへ」というのを思い起こさせるような酒本からのパスに柿谷が入ってくる形で攻め込み、また熊本の攻撃がサイドから斜めに走るのは齋藤だけという片翼状態になった事で、齋藤が中に入りすぎてボールを奪った時に丸橋が空く、もしくは丸橋の後ろで山口がボールを受けれる様な場面も増え、セレッソは左サイドを基点に縦やサイドチェンジでチャンスを作っていきます。
77分〜
75分に熊本は何度も走っていた齋藤に代えて巻を投入。巻がトップに入り、右には嶋田、左には清武功暉という布陣にします。
そしてセレッソも77分に清原に代えて田代を投入。杉本を再び左SHに戻して2トップには田代と柿谷という関係に。
熊本にとってこの交代は前線に基点を作りたいという意図だったのか定かではありませんが、この後左SHに戻った清武功暉が必要以上に中央に深追いして左サイドを空けるという危うさを短期間に2度ほど連続で見せます。

すると80分、熊本のセットプレーを跳ね返したカウンターから、山口のクリアに対しておそらく村上じゃないかと思われますがちょっと反応が遅れてしまい、田代がボールを納めてカウンターが発動。酒本が一気にボールを運ぶと、最初のクリアをした山口が一気に前線にまで飛び出しその動きで熊本のディフェンス3人が引っ張れる事に。山口と柿谷は同じ方向に走り込んでしまっていたんですが、山口の飛び出しがより爆発的だったので酒本のクロスは少し流れてしまってもスペースがあった柿谷が下がりながらもトラップできる時間が十分にでき、柿谷が落としたボールを杉本が右足のアウトでシュート。それがゴールネットを揺らしセレッソがついに先制します。
あそこで左足でシュートを打てない杉本は今シーズン何度かこういうチャンスで決められていなかった事もありますが、GKはそこまで準備出来ていなかったようで、右足アウトで放ったシュートに対して両手で追っかけてしまうという対応になった事でもう勝負ありという形でした。
88分〜
失点をした熊本は83分に上村に代えて菅沼を投入。前線で巻と清武功暉、左SHに菅沼、ボランチに村上とキム・テヨンという4-4-2にすると、セレッソも88分に柿谷に代えて秋山を投入、ソウザをトップ下にした4-2-3-1に変更。
熊本がかなり前がかりになってきますが特に崩すような形もなく、またセレッソがカウンターも狙えた中で守りきってそのまま試合終了。1-0でセレッソが勝利しました。

■その他

試合後のインタビューで清原が「最終ラインの枚数を3から4に変えて起こる問題がちょっとずつでていたが修正できた」と語っていましたが、前半は思っていた以上にその問題点が結構でていたと思います。そこを何とか無失点でやり過ごせたのが大きかったですね。

セレッソの順位はこの試合に関係なく既に4位と決まっていましたが、今節で全ての順位が決定。上位は前節終了時点と変化がなく、首位札幌と2位清水が昇格決定。3位松本山雅、4位セレッソ、5位京都サンガ、6位ファジアーノ岡山で残り1枠を争うプレーオフとなりました。イレギュラーがある中でも昇格できるように、来週はまず準決勝の京都戦です。




J3 鹿児島ユナイテッドFCサポーターの方が、スタジアムが理由でJ2ライセンスが交付されなかった事を受け、新スタジアム建設の為の署名活動を行っておられます。


下記からオンライン署名ができますのでよろしければお願いします。
鹿児島に新スタジアムを

署名ページ:https://kufcsupporterscommunity.blogspot.jp/p/blog-page_93.html

鹿児島ユナイテッド公式 サポーターによる署名活動ご協力のお願い http://www.kufc.co.jp/information/11845/


2 件のコメント :

  1. いつも分析を楽しみにしております。さて、4バックから3バック、そして再び4バックに戻りました。人数が変わったところで根本的な戦術がなければ同じかとは思いますが、POに向けて敢えて選ぶならakiさんとしてはどちらが適切とお考えですか?

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    1. コメントありがとうございます。
      どっちでも良いと言えばどっちでも良いのですが(苦笑)4で良いと思いますよ。
      特に京都は3にするとサイドの数的有利を作ってくるので。

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