2011年10月5日水曜日

2011シーズンの守備について


今シーズンはセレッソの守備が安定していない理由を探ってみる。

■数字から見る
昨シーズン:34試合 58得点/32失点 17勝/10分/7敗
今シーズン:28試合 54得点/41失点 9勝/9分/10敗(28節終了時点)

平均得点/失点は
昨シーズン:平均得点1.71/失点0.94
今シーズン:平均得点1.93/失点1.43
また無失点試合はまだ6試合少ないとはいえ昨シーズンの14に対して今シーズンは7とかなり減っている。
得点は上がってるけど失点は確かに増えている。

また少し興味深かったのは1得点の試合についてで
90分間で1得点だった試合は
昨シーズン:7試合 3勝/4分/0敗
今シーズン:11試合 0勝/5分/6敗
対照的な結果になっている
2点取った時には負けてる事もあるんだけど、1得点で0敗ってのはちょっとスゴい。

数字でみても確かに失点が増えているというか守りきれていない試合が増えている様な感じになっている。
しかし数字からは本質的な部分はほとんどわかりません。
これだけ書いておいてなんですが、これでは「ホントに増えてるね」ってことしかわからないです(笑)

■攻守はつながっている
今シーズン、失点が多い理由、守りきれない理由はボールを持っている時にあるんじゃないかと考えています。
サッカーは野球やアメリカンフットボールなんかと違って攻守がつながっているスポーツですからね。
ボールを持っている時に何が出来ているか、相手はどうしているか、その辺りがポイントではないかと。


■セレッソの4-2-3-1
最初にセレッソはどうしたいんだって事から。(わかってるよって方は飛ばしてください)
セレッソの基本フォーメーションは4-2-3-1。だけど一般的によく見られるの4-2-3-1とは全く違う。
一般的な4-2-3-1
まあ一般論でしかないのでもちろんそのチームやそこに入る選手によって異なるんだけど、4-2-3-1の2列目の両サイドのポジションは大きく開く事が多い。開く事で相手を広げる事ができ、中央にスペースが出来やすい。なのでトップ下がプレーしやすくなる。そしてそのSHの後ろにSBもいるので2人のサイドプレーヤーでサイドアタックもしやすい。一般的にはこんな感じでしょうか。

セレッソの4-2-3-1
そしてセレッソの4-2-3-1。上の図はセレッソが上手くいっているときの形ですが、こうやってみたらホントは4-2-3-1じゃない。なので当然個々のポジションが持つ役割も異なって来る訳です。

一番異なっているのはSB。
セレッソのSBはボールを持ってる時に両方同時に上がる。
まずここで一般的な4バックの鉄則は破っている訳なんですが、それは彼らが他のSBと違う役割を持っているから。
セレッソのSBに求められているのは相手を広げる事。
ボールを持っている時は一般的な4-2-3-1でのSHの役割がSBに与えられている。
なのでSBは絶対に上がらなければいけなくなっている。

SBがSHの役割をする事で恩恵を受けているのがシャドー。
セレッソの2列目がSHやトップ下じゃなくシャドーと呼ばれているのは、SHが存在しないから、いわば3人全員が普通の4-2-3-1でいうトップ下だから。
なのでシャドーの3人は自由に動き回る。3人が平気で同サイドに集まるし左も右もぐちゃぐちゃになりカオスなポジションングを取る。
なのでこの3シャドーには、清武、倉田、ボギョン、香川、乾、家長と自由に動いて持ち味を出せる選手、近い距離でプレーできる選手を置いている。(ファビオロペスも大竹もそれが出来そうな選手)

で、ここでポイントなのはカオスなポジショニング。
(このカオスなポジショニングにボランチやCBも絡んでいるのですがとりあえずは割愛)

■カオスなポジショニングの恩恵
守備のポジショニング
カオスなポジショニングによって作られる状況
一般的に取りたいポジショニング(上図)に対してセレッソのカオスなポジショニングでは例えば下図のような状況を作る。
本来上図の様に守りたいんだけど、シャドーを中心にはセレッソが流動的でカオスなポジショニングを取るので相手は意図したようなゾーンで守れていない(ブロックを作れていない)状態になってしまう。
この状況は相手を崩しにかかっている時に起こる形なんだけど、例えばもしここでシャドーがボールを失ったとしても、相手は適切な場所に適切な選手を置けていない状態でボールをも持つ事になってしまっている。

ここで相手が取れる方法は2つ。

1つは何よりも先ず適切な場所に適切な選手がいる状態に持っていく方法。
しかしセレッソはボールを奪えそうだと判断すれば、ボールを失った瞬間に積極的に前からプレッシングをかける。もちろん前からのプレッシングで全てボールを奪える訳ではないのでダメだと判断すれば全体が下がるんだけど、この前からのプレッシングで適切な場所に適切な選手がいる状態を作る事を遅らせる事が出来る。
時間がかかって守る形をつくってしまえば失点のリスクは減らすことができる。

もう1つは前線のスペースにボールを出す方法。
セレッソは攻撃で幅を作る為に両SBが同時に上がっているので最終ラインはCBの2人だけになっている。
ってことはそこにボールを出して他の選手が上がって来るまでキープできればチャンスはつくれる。
ただここで効いてくるのが相手が適切な場所に適切な選手を置けていない状態になっているという事。
なので、前線のスペースで味方が上がって来るには通常以上の時間がかかってしまう。
なのでセレッソは茂庭と上本というスピードがあり対人に強いCBで潰してしまう。

という方法で昨シーズンのセレッソは特殊な形で攻撃的と言われるやり方ながら同時に失点数2位という結果を残していた。

■なぜ失点が増えたのか
ポジションを崩さない
失点が増えた理由はこのカオスなポジショニングで相手の形を崩せていないからという点が最も大きいのではないかと思っています。まあそこを相手が研究してきたという事なんでしょう。
相手の形が崩れていないって事は相手は適正なポジションに適正な選手を配置出来ているという事。
そして前線にだしてもそのサポートに入りやすいという事。
なのでカウンターのピンチが大きなものになりやすい。
流石の茂庭と上本(藤本)も相手が選択肢を多く持った状態で1対1の状況を作られてしまえば止めきれない場面も増えてしまう。

相手は陣形を崩されない為に前からプレッシングに来る(これは形を変える広島に対してセレッソが取っている方法でもあります)、ブロックを出来る限り維持しようとする。
今シーズンはここを意識されている感がかなりあります。
今シーズンの失点についてはこんな感じかと。

■その他
ここまで書いたことを強引にまとめると、今シーズン失点が増えている原因は、「サッカーは攻守がつながっているから」で「ボールを持っている時に理想の状況を作ることが出来ていない事が多い」から。
◯◯がいなくなったからってすると、そうかも知れないしそうでないかも知れないので、それよりも少し前のfoorballistaでリージョが言っていた模様替えの話しがわかりやすいんじゃないかと。

あとちょっと話しはそれてしまいますが・・・
一応そういう状況に対して昨シーズンに比べセレッソが早めに全体のブロックを下げて守る、中後をCBの前に置く、という方法で対処している部分もあるのだけど、それを中心に考えるなら例えばSBの人選は正しいのか?という話しになってきます。
ただSBをSHではなく一般的なSBにしてしまうとその前にSHを置く必要性が増えてしまい、そうなれば3シャドー自体が使えなくなる。
シャドーの選手は技術も走力もある選手を置いているのではカウンターも上手くブロックを下げてカウンターという形が出来ない事もないですが、その全体のブロックを下げて守るという方法はあくまで応急処置でセレッソの本筋にする事は難しい。

なので完全に個人の意見ですが、今までから積み上げてここからさらに上に行くには、進化させるには相手を形を崩すという部分に焦点を当てて行く方が良いのではないかと思っています。
折角ここまでこの形で進化させて来た訳なんで勿体ないなあと。
Jリーグでもトップクラスの面白いサッカーをしてるので、軸足はずらすなよって思う訳です。

0 件のコメント :

コメントを投稿

新着記事

人気の投稿

セレッソ大阪公式Twitter

楽天

楽天トラベル