2011年9月28日水曜日

9/27 ACL Quarterfinal 2st Leg VS 全北現代モータース(韓国)  @Jeonju World Cup Stadium(韓国・全州)


■全北現代モータース 6 - 1 セレッソ大阪
全北現代モータース:エニーニョ(31') イ ドングッ(49') イ ドングッ(55') イ ドングッ(64') キム ドンチャン(76') イ ドングッ(90'+1)
セレッソ大阪:小松(72')
フォーメーション
■全北現代モータース
GK:21 キム ミンスク
DF:4 キム サンシク 16 チョ ソンファン 25 チェ チョルスン 33 パク ウォンジェ
MF:8 エニーニョ 10 ルイス エンリケ 13 チョン フン 26 ソ ジョンジン
FW:3 シム ウヨン 20 イ ドングッ
SUB:41 イ ボムス 11 イ ソンヒョン 15 キム ドンチャン 18 フアン ボーウェン 5 ソン センジュン  9 ジョン ソンフン 19 クルーノ ロブレク
交代:ソ ジョンジン→キム ドンチャン(72') ルイス エンリケ→クルーノ ロブレク(81') エニーニョ→イ ソンヒョン(後半41')

■セレッソ大阪
GK:21 キム ジンヒョン
DF:2 扇原貴宏 3 茂庭照幸 4 藤本康太 32 尾亦弘友希
MF:9 ファビオ ロペス 13 清武弘嗣 16 キム ボギョン 17 酒本憲幸 23 倉田秋
FW:11 播戸竜二
SUB:1 松井謙弥 5 中後雅喜 6 山口螢 7 大竹洋平 14 丸橋祐介 15 小松塁 31 杉本健勇
交代:キム ボギョン→中後(13') 中後→小松(57') 清武→大竹(67')

ACL準々決勝2ndレグ。ACLは登録ポジション順、背番号順に記載されるので実際のポジションとは全く関係ない。ただ全北の3番は前の時はDF登録でACLのプログラムにもDFになっているにもかかわらず今回の公式がFWなのでそのままにしました。(実際のポジションもCBなので多分AFCのミスかと)
1stレグを4-3で勝利でこの試合は引き分け以上で勝ち抜けだったので、どうしても勝ちたい一戦だったんだけど結果は1-6と悔しい敗戦となってしまった。いつもなら時系列順に書いてますが、この試合はちょっと書き方を変えます。

■6-1というスコア
この試合セレッソは全く自分たちのサッカーができなかった。
立ち上がりに過剰なまでの激しいプレー(もはやラフプレー)でキムボギョンに襲いかかりゲームから出されてしまい、そしてその後は腰が引けた様なサッカーになってしまった。
ただ、そのラフプレーだけが原因ではなく、全北はさすがに4回目の対戦という事もありセレッソの弱点を的確に突いてきた。
その激しいプレーも含めて彼らのストロングポイントをセレッソの弱点にぶつけて来た。

■セレッソのサッカー
最初に「セレッソはどうしたかったか」から。
セレッソの特徴はご存知の様にシャドー。乱暴な言い方をすれば、セレッソのサッカーはシャドーがいかに良い形でプレーできるかから考えられている。
セレッソ シャドーのスペースを作る仕組み
なのでセレッソは、攻撃の起点が他のチームに比べるとかなり低く設定されていてボランチもDFラインに入ってビルドアップをはじめ相手を引き出そうとし、ボールを持てば両サイドバックは同時に一気に高い位置を取り相手の横幅を広げようとする。
これでシャドーが自由プレーする為のスペースを作る。
このスペースでシャドーは引いたり同サイドに集まったりして自由に動く。

セレッソ 相手の陣形を崩す
シャドーが自由に動くという事は、例えば4-1-4-1などのゾーンで守ろうとしていてもそのゾーンに2人以上の選手が同時に入って来る事になる。なのでそうなると相手もそのゾーンを崩して守る事になってしまう。
シャドーには狭いスペースでパス交換ができドリブルでも目の前の相手をかわすテクニックがある選手を3人置いているのでそこで崩してしまう事ができればもちろん最高なんだけど相手の陣形を崩しているので、もしそこでボールを奪われたとしても相手はSHやCHなど適切な位置に適切な選手を置く事ができていない。なのでそこで相手が陣形を整える前にプレッシャーをかけてしまい苦し紛れにだしたパスを対人に優れたCB等で相手の攻撃を止める事ができる。
こうやってセレッソは去年リーグ2位の失点数と魅力的な攻撃をつくりだしていた。

■セレッソの弱点
セレッソを止めるにはシャドーを自由にプレーさせない事。
その方法は大きく分けて2つあり、1つは低い位置にブロックを固定させてしまい最終局面でのプレーを制限する方法ともう1つはシャドーにボールが入る前のボランチと最終ラインのところで潰してしまう方法。
ブロックを下げるとボールを自由にまわされてしまうのでサンドバッグ状態になってしまう危険性があるし、高い位置から行くとこの前の山形の様にそこをかわされると一気に攻め込まれてしまうのでどちらの方法も一長一短なんだけど、全北は後者を選んで来た。
全北 ボランチを狙う
シャドーにボールを入れさせない為にCBとボランチのところにプレッシャーをかける。
特にこの日のメンバーの中で一番ボールを運ぶ能力・シャドーにボールを届ける能力が高いキムボギョンのところにはセレッソの前線を多少あけてでも、ファールでも良いのでとにかく潰す。その証拠に立ち上がりのキムボギョンに対するファールで出たイエローカードはCBとSBによるものだった。

実は同じ様な狙いで神戸にもやられてるんだけど、ただこの日の全北のプレッシャーは荒さ、激しさともにJリーグではまず見られないものだった。そしてもう1つ違ったのは神戸はCBに対してプレッシャーに来たけど全北はボランチに対して来た。

プレスの相手をボランチに定めた事で3つの効果があった。

1つはCBからのクリアで時間を使わせなかった。
きっとCBにプレッシャーにいっていれば足下に自信の無いCBは大きくボールを蹴ったはず。セレッソはボランチを飛ばしてCBからシャドーへ直接ボールが入る事はほとんどない。CBにはその能力が無いしそこはそれほど優先していない。だからボランチがCBの近くまで寄る。だからCBにプレッシャーに行くとCBはボールを大きく前方に蹴る事が増える。
この試合、全北は立ち上がりで勝負を決めたかったはず。なぜならハードなプレッシングはたとえフィジカルに優れた韓国チームとはいえ長時間は厳しい。そしてアジアの審判のレベルをかんがえればある程度時間がたってしまってからだとレッドカードになるようなプレーでも早い時間であればイエローで済む可能性が高い。なのでCBが大きく蹴りだして時間を使われる事が少なかった。

2つめはSBの裏のスペースを使えた事。
CBに行くとSBはまだ上がっていない可能性が高い。だけどボランチに入ればSBは上がる。その結果ボールを奪ったあとにSBの後ろのスペースを使う事ができていた。

3つめはイドングッを守備に疲弊させずに済んだ事。
イドングッはそれほど守備ができる選手では無い。なのであまり守備をさせたく無い。
ただチームでボールを奪えばセレッソのCBに付かれたとしてもボールを収める能力はあるし、シュートまでもって行く事も出来る。また横からのボールでも競り勝てる。
イドングッを激しく守備に参加させない事でこの能力を存分につかう事ができていた。

全北は多分この3つを狙ってて、自分たちとセレッソを比較した時に最大のストロングポイントになるであろうフィジカルをボランチにぶつけてきたんじゃないかと思う。

どこまで狙ったものかはわからないけども、セレッソの中で全北にとってもっとも気をつけなくてはいけなかったボギョンは前半7分にして顔面骨折で交代を余儀なくされてしまったし、さらにこれによってセレッソの若いメンバーは萎縮してしまったので全北はゲームプランをよりやりやすい状況になった。
そしてセレッソは最後までその流れを止める事ができなかった。

またシャドーにボールが入っていないので相手の陣形も崩せておらずほとんどの時間帯で全北の攻撃をCBがもろに受けてしまう形になってしまっていた。

またリーグでも相手に研究された為に幾度と使っていた「厳しい時間帯は全体的にブロックを下げて守る」方法も、その後ボールを運べないのでほとんどの時間でガマンするしかなく通用しなかった。


■その他
ACLというセレッソにとって史上最大のプロジェクトは6-1というスコアで幕を閉じた。
セレッソにとってセレッソを応援しているものにとって忘れられない試合になった。
相手のプレッシャーは良い悪いは別にして未知の領域のものだったし、ここまでフィジカルを押し出された事もなかった。
相手はボランチを狙って来ている事は開始1分でわかるレベルだったのに。
それならボランチのポジショニングを動かしたり、シャドーの1枚をもっとはっきりボランチの位置に落としたらよかったんだろうし、CBからシャドーへのパスを狙ったり直接裏のスペースを狙ったりすればよかったんだろうけど未知のプレッシャーの前にそれが出来なかった。
多分今思えば出来た事も沢山あったんだろうけど、何もできなかった。
「させてもらえなかった」って事なんだけど、落ち着けばできるであろう事もできていなかった。

播戸が言っていたように、一言でいえば経験不足って事なんだろう。だってこの強度を知らなかったんだから。

そしてクラブもACLを控えていたのに清武をU-22に出してケガをさせたし、ボギョンもU-22に出した。
Aマッチデーでもない時のアンダーの代表に主力選手をだした。
この強度を知っていて本気でACLを取るつもりならそのタイミングで出さなかったと思う。
ここはACLがあるので別の時に出すからといった様な条件をつけて交渉する事はできたはずなのに。
そういう意味ではクラブもACLの厳しさを知らなかった。
ここも播戸が言っていた通りだ。

控えメンバーについてもそうなんだろう。
ケガの清武を起用した。起用するという判断をクルピにさせた。

セレッソで唯一ACLを知っている播戸が、しかもチャンピオンになってる播戸が、「若い」「経験不足」って言ってる事はそういう事なんだろうし本当に「力がたりない」んだと思う。

ただこれで本当のACLを知った。
選手もクラブもサポも皆が知った。
これを知ってどうするのか。選手もクラブもサポもどうするのかって事なんだと思う。

そして選手もクラブもサポもACLにこれからも出て行かなきゃいけないって事は強く感じたと思う。
なのでこれからのリーグ、ナビスコ、天皇杯で見せなきゃいけないと思う。
ここに戻って来る為に。
ちょっと切り替えるのに時間はかかったけど今は本当にそう思う。

ACLのベスト8まで来て本当に良かった。
グループリーグやガンバに負けていたら本当のACLを知る事ができなかった訳だし。
そしてACLを取った浦和やガンバは本当にスゴいって事を心から思った。

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